SDGsの17の「持続可能な開発目標」の項目について、キリシマンが調べたことを書いていきます。
第13回は「13.気候変動に具体的な対策を」です。
SDG13は、気候変動とその影響と闘うばかりでなく、気候に関連した災害や自然災害に対するレジリエンスを構築するための、緊急の行動を求めています。
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
気候変動は今やすべての大陸のすべての国に影響を及ぼしています。
人々は、その重要な影響を経験しています。
変わる気象パターン、海水位の上昇、より厳しい気象の出来事などです。
人間の活動による温室効果ガスの排出は、今や史上最高のレベルにあります。
2016年4月、175の国連加盟国は、歴史的なパリ協定に署名しました。
それは、地球の温度を摂氏2度以上上昇させないようにする、野心的な気候変動対策のステージを設定しています。
新しい協定は、気候変動のペースを緩め、持続可能な低炭素未来に必要な行動と投資を強化することを目的としています。
気候変動は、しばしば災害を悪化させました。
1990年~2013年にかけて、国際的に報道された災害で160万の人が死亡し、年間の死亡傾向は上昇しています。
その結果、より多くの国が必須義務として、国及び地方の災害リスク軽減戦略を実施しています。
2015年3月、第3回国連防災世界会議が仙台市で開かれ、国連加盟国は「仙台防災枠組2015-2030(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)」を採択しました。
2015年12月、加盟国はパリで開かれた国連気候変動会議で(COP21)を採択しました。
協定の中で、すべての国は、世界の温度の上昇を摂氏2度以下に抑え、かつできれば摂氏1.5度以下に抑えるよう努力することに合意しました。
気象と気候
気象の予測から気候変動の調査研究、自然災害の早期警報まで、世界気象機関(World Meteorological Organization :WMO)は、地球の大気の状態と動き、その海洋との相互作用、それが作り出す気候、その結果である水資源の分布などに関して正確な情報を適時提供するグローバルな科学的な活動を調整します。
WMOは、気象観測、水文観測、その他の観測を行う観測網を確立し、運営するための国際協力を進め、かつそれを容易にします。
気象情報の迅速な交換、気象観測の標準化、観測結果や統計の統一発表を進めています。
また、航空、海運、農業、その他気象に左右される経済社会活動に気象学を応用させる活動も推進し、水利資源の開発を推進し、さらに、その研究や研修を奨励しています。
WMOの活動の根幹をものが「世界気象計画(World Weather Watch)」です。
世界気象計画は、加盟国や地域が運営する観測システムと電気通信網を通して、分単位で最新の世界の気象情報を提供します。
これらのシステムは、人工衛星、航空機、地上観測所、船舶観測所、そして自動観測装置を持った停泊ブイや漂流ブイを利用します。
得られたデータや分析・予報は、毎日、自由かつ制限を受けることなく、WMOセンターと各国の気象台との間で交換されています。
その結果、コンピュータの発達もあって、20年前には信頼できる予報は2日先までであったものが、今日では5日先までも可能となりました。
WMOのプログラムは、各国が気象学を応用して生命と財産を守り、経済社会開発を進めることができるように支援しています。
公共の気象サービスを改善し、海上、航空の旅行の安全を増し、砂漠化の影響を軽減し、農業と水、エネルギー、その他の資源の管理を改善します。
迅速な気象情報は、干ばつ、害虫、病気による損失を縮小できることを意味しています。
「熱帯低気圧計画(Tropical Cyclone Programmee)」は、熱帯サイクロンの影響を受ける国々が予報と警報システム、防災体制を改善することによって、破壊と生命の損失を最小限に食い止めることができるように支援しています。
「災害リスク削減計画(Disaster Risk Reduction Programmee)」は、特にリスク評価、早期警戒システム、能力強化に関して、WMOの各種活動と国際、地域、国の機関の活動との統合を図ります。
「世界気候計画(World Climate Programmee)」は、気候に関するデータを収集して保存し、加盟国政府が気候変動と変化に対応できるように支援しています。
また、差し迫った気候の変化(例えば、エルニーニョやらラニッリャのような現象)やそうした変化の数か月後の影響について、また自然、人為を問わず人間の活動に影響を及ぼす変化について政府に警告します。
WMO主導の「気候サービスの世界的枠組み(Global Framework for Climate Services :GFCS)」は、気候に関連する部門での政策決定を支援する科学に基づく気候情報、サービスを開発しています。
「世界天気研究計画(World Weather Research Programmee :WWRP)」は、大気の構造と構成、雲の物理と化学、気象調節、熱帯気象、天気予報に関する研究の調整を図ります。
また、加盟国が研究プロジェクト実施し、科学情報の配布、研究成果を予報、その他の技術への応用を支援します。
「全球大気監視計画(Global Atomosphere Watch Programmee :GAWP)」のもとに、グローバルと地域の観測地点と人工衛星とが温室効果ガスのレベル、オゾン層、放射性核種、その他の大気中のガスや粒子についての評価を行います。
「水文・水資源計画(Hydrology and Water Resources Programmee)」は、地球上の水資源を評価、管理、保存するのを助けます。また、水資源を評価し、水文に関するネットワークとサービスを発展させるための交際協力を促進します。
いくつかの国が共有する河川流域内での協力を強化し、洪水の多い地帯では特別の予報を行って人命や財産を守っています。
「教育訓練計画(Education and Training Programmee)」と「自発的協力計画(Voluntaly Cooperation Programmed)」は、科学知識の交換、技術的な専門知識の開発、技術の移転を奨励しています。
「情報・広報計画(Information and Public Affairs Programmee)」は、WMOの活動やWMO取り上げるより広い問題について周知しています。
産業時代の幕開けとともに、大気に「温室効果ガス」が着実に、そして今では、危険なまでに増えながら蓄積されてきました。
これによって、地球上の温度が上昇を続けています。
エネルギーを生み出すために化石燃料を燃焼させたとき、森林を伐採して燃やしたとき、二酸化炭素が大気中に排出されます。
そうした「温室効果ガス」…メタン、亜酸化窒素、その他を含む…の蓄積は増大し、今では地球は、巨大な、潜在的には破壊的な影響に直面するまでになりました。
国連システムは、その気候変動に関する活動を通して、この課題に真正面から取り組んでいます。
気候変動政府間パネル
1988年、利用可能な最善の研究が問題の深刻さを示し始めたとき、二つの国連機関…「国連環境計画(UNEP)」と「世界気象機関(WMO)」…が集まって、「気候変動政府間パネル(Intergovermmental Panel on Climate Change :IPCC)」が設置されました。
これは、その影響と将来のリスクも含め、気候変動に関する科学を評価し、それへの適応と緩和の選択肢を提供するものです。
IPCC評価は、政府が気候に関連した政策を立案する際に科学的根拠を提供し、気候変動に関する国連会議での交渉…「気候変動に関する国連枠組条約」の基礎となります。
パネルは、問題に関する科学的な研究を見直し、問題に対して法的拘束力のある、調整の取れたアプローチを発展させます。
その活動が認められ、同パネルは、アルバート・アーノルド(AI)、ゴア・ジュニア元米副大統領とともに2007年にノーベル平和賞を受賞しました。
世界の科学者の警告を心に留めて、世界の国々は1992年にリオデジャネイロに集まり、「気候変動に関する国連枠組み条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」に署名しました。
1995年、IPCC科学者が提示した証拠により、1992年の目標は地球の温暖化とそれに付随する問題を防止するには不十分であることが明らかになりました。
その結果、1997年、条約の批准国は京都に集まり、法的に拘束力のある「議定書」に合意しました。
この議定書の下に、開発先進国は、1990年のレベルを基準として、2008年から2012年までの間に6種の温室効果ガスの排出量を5.2%削減することになりました。
議定書の第一約束期間は、2012年に終了しました。
2012年12月に採択された議定書の「ドーハ改正」のもとに、開発先進国37か国と欧州連合は、温室効果ガスの排出を1990年比で平均5%削減することを約束しました。
また、第二約束期間の間に、当事者は2013年から2020年までの間に少なくとも18%削減することを約束しています。
2015年の「パリ協定」では、各国は気候変動の脅威に対するグローバルな対応を強化することを合意しました。
同協定では、「自国が決定する貢献」を通して最善を尽くし、将来の努力を強化することをすべての当事者に求めています。
国連が、気候変動がもたらす脅威に取り組むために初めて世論を動員した当時は、そうした変化が起こっていることを納得していない人が多かった。
しかし、2007年初め、IPCCは、最新の気候モデルの利用、データの収集と分析、最も最新の専門家の審査を受けた科学論文を検討し、90%の確率を持って、地球温暖化が進行中で、なおかつ強まっていると報告しました。
同時に、それはある程度は、人間の活動に起因するものであり、さらに重要なことは、その影響はすでに現れており、大きな是正措置が採られなければ、それらはさらに悪化するであろう…と発表しました。
パネルの報告、「気候変動、2007年」は40か国の気候科学者や専門家が全員一致で同意し、また113か国の政府が支持しました。
報告は、温室効果ガスの排出が現在のペースで増え続けるならば、世界の平均温度は今世紀末までに平均3度(摂氏)上昇することを示しています。
その結果、より極端な温度、熱波、新しい風のパターン、いくつかの地域のより激しい干ばつ、豪雨域の拡大、氷河や北極氷原の溶解、世界の海面水位の上昇が発生すると予想されています。
そして、熱帯性サイクロン(台風やハリケーン)の数は減少すると予想されるものの、その激しさは増すと思われます。
海水温度の上昇により、最大風速が速まり、集中豪雨が増すと予想されています。
「兵庫行動枠組2005-2015年」が、神戸で開かれた2005年国連防災世界会議で168か国の参加国によって採択されました。
それには、気候関連の災害による災害リスクの削減に効果的であると思われる勧告も含まれています。
2015年3月に採択された「仙台枠組2015-2030年」は、この努力を踏襲しています。
しかし、究極的には、唯一の効果的な道は、大気の持続可能性を回復させることによって地球温暖化の波と闘うことです。
幸運なことに、そうする手段は既に概説されています。
世界の人々がともにそれを実現させようとするならば、必ずやその目標は達成されるでしょう!
※ 「キリシマンのブログ」は、「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。
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